大笈酒

[笈酒]

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松聖と呼ばれる二人の羽黒山伏が百日間の修行を行う「冬の峰」。
その間、お世話になる人々への饗宴として振舞われる酒食が「笈酒」である。

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 ※「笈(おい)」とは山伏修行の法具等を入れて背負う箱型のもので、羽黒山伏の十界修行においては新たな生命を宿す母体ともとらえられている。

 

 

 

古来、冬の峰の修行にあたり、笈酒は7回行われていたという。

①指補(さしほ)笈酒・・・松聖を命じられたことを親類縁者や近隣住人等に披露する祝宴。

②括(くくり)笈酒・・・行の初日に、先任松聖や親類縁者、近隣住人等を招いて行う祝宴。

③松明(たいまつ)まるき笈酒・・・歳夜祭当日の奉仕者(役者・松打・稜持・法螺役等)が決ま   り、当日使用する諸道具も整えられたことを祝う宴。

④大笈酒・・・羽黒一山の重役と前任の松聖12名を招き、祭りが円満に運ぶように挨拶する宴。

⑤隠(かくし)笈酒・・・親戚縁者や近隣住人、友人知人、信者などを広く招待して行う私的な宴。

⑥役者振舞笈酒・・・歳夜祭りに奉仕する役者・松打、稜持、法螺役の饗応。

⑦精進おろし笈酒・・・修行が終わると行われる精進落としの直会。

[大笈酒]

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④の大笈酒は笈酒の中でも最も多い品数の精進料理がふるまわれた。その数は材料で123種、料理数で25種にもおよび、「日本一」といわれている。

それは神仏との一体化をはかる「共食神事」の思想の体現であると同時に、羽黒修験の威厳を示すものであったともいえる。

大笈酒は、食材の収集や調理の困難、莫大な経費などのゆえ、江戸期にはすでに禁止されていたが、昭和16年と60年に、復元された。

(上段左より)

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(下段左より)

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